
奇跡のピアニスト 至高の韻律 天才ピアニスト 辻井伸行さんを語る場合
必ず目にする枕詞だ。
ネットで耳にする彼の演奏は確かにそうだと感じる。
特に、ラフマニノフ、リストなど鳥肌ものだ。
それでは、なぜ彼は天才ピアニストなのか。
実際に聴きに行ってみた。
今日の曲目
ヴェートーベンピアノ協奏曲第5番 皇帝
アンコール曲 月光ソナタ
サントリーホール2021年6月9日(水曜日)

ネットで見た時もそうであったが、
彼の指は鍵盤からほとんど離れない。これは彼が盲目であることから必然的にそうなった奏法であると思われるが、
どうもピアノの基本にかなっているようだ。
彼の指は、すべるように鍵盤をたたく。
昔、中村紘子さんが言っていたが、中村さんは若い時、鍵盤から指を離して情熱的に弾く奏法だったそうだ。それを、後にできるだけ鍵盤に密着して演奏するようにと高名なピアニストに指導されたというのを聞いたことがある。
辻井さんはそのハンデのせいか、初めからピアノの理想の奏法となっていたのではないかと想像する。
そして彼の一番すごいのは、曲を完璧に解釈し、それを現実のピアノ音として表現できていることだ。彼のピアノは、サビ以外の所でも韻律が極めて美しい。
これまであまり興味のなかった曲や、はじめて聴くような曲でも彼にかかれば、曲の神髄がたちまち見えてくる。作曲家にとってもこんなに素晴らしいピアニストはいないだろう。
今日の席から見たピアノ

辻井さんの指使いが丸見えだった。
ピアノの演奏がない時でもしきりに体でリズムを取り、もものあたりに手を置きピアノを弾く動作をされていた。
月光ソナタは抒情詩のように歌い上げる。
むろん万雷の拍手